ソール・ライター展

先日ふと立ち寄った「ソール・ライター展」がすごくよかった。
ファッション誌の見事な写真を撮る感性も持ちながらも、社会的な場でいることに重きを置かず、自身が住むニューヨークで60年余り、ごく自然に自らの視界に入って来るような風景を細やかな感性で切り取る作品を残し続けた。社会に無頓着だったのではない。世間的な称賛や脚光がどういう意味のものかを知るからこそ、静かな距離を取ったのではないか。

それは一見なにげなく、
ともすれば流れていってしまう時の中に、
単に景色だけではなく、
孤独同士の
想いの結びつきの瞬間を捉えているからこそ、
ささやかだけれど
細く突くような痛みを持って、
彼の写真を見てしまうのだとおもう。
はかないからこそ、
つなぎ留めておきたい想い。
それは共感や共振よりも深い、
共犯の憂いを滲ませる想いだ。

彼が共に過ごした女たちの写真がいい。
何にも捉われず、飾らず、
ただそこにいたいからいる、
満たされた静けさ。
こんなふうに生きたい。

知性は外側に探すものではなく、
自分の内側に問い掛けていくものなんだ。

ソール・ライター展
〜6/25(日)
Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_saulleiter/