2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

三日月

昨日の宵の月を忘れないでおこう。 住んでいる街の建物の間のはるか先、 澄んだナイトブルーの空に浮かび、 白く細い光を投げ掛けて来た三日月。 どんなに遠くても、そこに確実に在るもの。

「私は元気です」

ちょっぴり疲れて帰って、ふと鏡をのぞき込むと、 そこには母がいたような気がして、はっとする。 一番記憶に残っている母は、 今の私よりも少しだけ若く、 そして何倍も我慢強かった。 故郷で健在の母とは、ここ数年会っていない。

阿呆なりに

きちんと話そうとして、冷たい印象を与えてしまい、 大切な人を傷つけてしまったことがある。 壁というか、距離を置かれたと感じてしまったようだった。 私は、自分の浅はかさを隠そうとしていたのだと思う。 それはまったく意味の無かったことで、 素の私の…

カントロフの音色

ジャン=ジャック・カントロフのヴァイオリン、ジャック・ルヴィエのピアノによる、フランクのヴァイオリン・ソナタを久しぶりに聴く。 繊細な軽やかさの中に、艶やかな官能を滲ませている。 しなやかな音の流れにはいきいきとした推進力があり、 のどが渇い…

今を笑って

金子光晴著『絶望の精神史』(講談社文芸文庫)をたまに読み返しては、優柔不断に流れそうな気持ちを立て直す。 最近読んで、目に飛び込んできた箇所。 「日本人の湿っぽい心象を培養土としてはびこったもの ・・・ あのおびただしい仏教の因果話であった。 …