2018-01-01から1年間の記事一覧

『Ay曽根崎心中』

『Ay曽根崎心中』を観て来ました。今日(12/18)は、工藤朋子さんのお初と、三四郎さんの徳兵衛。この日が工藤さん、三四郎さんの回の最終日でした。 先日13日には、鍵田真由美さんと佐藤浩希さんの回も観ました。 何よりもまず、「おめでとうございます」…

チャチャ手塚 パセオソロライヴVol.102

チャチャ手塚さんのパセオライヴ、熱かった! スタートが“喜びの歌”アレグリアスなのが、チャチャさんらしい。 続いておなじみ『Me va me va』のリフレインにときめく。歌で鍛えた筋肉と、踊りで鍛えた筋肉、そして呼吸の連動から生まれる生声は、たとえ後ろ…

スペイン国立バレエ団 Bプログラム

いやあ素晴らしかった! スペイン国立バレエ団のBプログラムを観て来ました。『ボレロ』が一番印象に残っている。精神のストリップに昂揚した(ストリップほどプリミティブに求められ、それに応え身を削って与えるものはない)。それは生々しい人間をさらけ…

今枝友加 パセオフラメンコ カンテソロライヴVol.101

今枝友加さんのカンテソロライヴ。 真の敬意とは、高ぶることなく奢ることなく媚びることなく飾ることなく、自分自身の持ち得る限りの一番良いものを相手のために捧げるということ。 素晴らしい心の交流を見た。それはなんと尊いことだろうか。 「魂と対話し…

カニサレス フラメンコ・クインテット

先月見たカニサレス フラメンコ・クインテット、 心地よく洗練されたフラメンコ空間、あの美音が耳に残っています。 愛と孤独を知る巨匠。 自らの半生を振り返るような、静かなソロからリサイタルは始まった。 世界最高峰のフラメンコ・ギタリストとなった今…

グールドのピアノによる『フーガの技法』

ヘビロテで聴きまくっているグールドのピアノによる バッハ『フーガの技法』の映像があった。 自分自身の感性への集中の極み。 傍からはどんなに狂気に見えようと 彼は深い静けさの内にいるのだろう。 哀しむでもなく悦ぶでもなく ただそこから生まれる音楽…

乙川優三郎『太陽は気を失う』

「よい喜劇には悲しみがたくさんいるのよ」読み終わって残る切なさが、シビアでリアルなのがいい。 期待をやめたところから自分の人生が動き出す。 どんなに遅くとも。 それが自分だけのうれしい希望になる、と、乙川小説は示唆してくれる。 人生の終焉で、…

三澤勝弘 パセオフラメンコ ギターソロライヴVol.99

敬愛して止まないリカルドに教えを乞うため、長い時間を掛けて陸路で渡ったスペイン時代のことを、三澤さんは、曲の合間ごとに、記憶を愛おしむように、淡々と語ってくれた。饒舌、というのでもなく、苦しいはずの想い出も、胸に浮かんで来ることがうれしい…

杏梨 ピアノフラメンコ パセオソロライヴVol.96

杏梨さんのフラメンコピアノ・ソロライヴ。 ロゼに近いワインカラーのドレスをまとい、毅然とした柔らかな微笑みであらわれた。ホルタ―ネックが華奢な肩に似合う。 一曲目のタンゴの色っぽさにやられた。少し緊張した面持ちの、透明で硬質なつやを持つ雰囲気…

大沼由紀 パセオフラメンコソロライヴVol.91

「グルーヴと確信」! つい最近、ガルロチで視たマエストロ・カナーレスに爆発的に漲っていたものが、大沼由紀さんにもがっつり宿っていた。 小手先とか技術とか美とか、そういったものはもう求めてはいない。自らが掴んだ自分にしか見えないものだけを求め…

浅草橋スペインバル『ラ・バリーカ』リニューアル・オープン

本格スペイン・バルとして定評のある「ラ・バリーカ」が、美味しさはそのままに、タブラオとして生まれ変わりました。 そのこけら落としライヴが、5月27日、開催されました。バイレに屋良有子さん、佐藤哲平さん、タマラさん、加藤明日香さん、ギターに栗原…

川島桂子 パセオフラメンコカンテソロライヴVol.90

つくり込んだものがない、余計なものが何もない、というのはこんなにも快い。 川島桂子さんのカンテとエンリケ坂井さんのギター、 それぞれに熟成されたものが高純度でブレンドされ、 とろりと流れるように響いてくるフラメンコは薫り高く、品格があった。 …

平野啓一郎「ある男」

平野啓一郎「ある男」読了(文學界6月号)。 愛する人の過去を知った後も愛し続けられるだろうか。 「法律」「倫理」「差別」。 そういった重い問題に自在に言及しつつ、ある人物の生を辿り、思想を浮き彫りにしていく手法は、前作の『マチネの終わりに』同…

フィッシャー=ディースカウの命日

今日5月18日は、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウの命日。 そして同じ5月の27日は、この名歌手と親交のあった 吉田秀和さんの命日であることも想い出す。 2012年から6年。 良い機会、と、吉田秀和さん著書の言葉を改めて眺める。 ラインを引き、…

森田志保 パセオフラメンコライヴ Vol.89

死ぬんじゃないかと思った。 臨死体験を共にした感覚。 それは畏れ、祈る、静かな想いだった。 フラメンコの年代記を紐解き、フラメンコの本質に迫るライヴは、 まさに巡礼の旅だった。 1時間強、着替えもせず、舞台に乗ったまま、 森田志保さんは踊り切り、…

小島章司出演『シミュレイクラム/私の幻影』

互いへの深い寛容。優しさに満ちた舞台だった。 遠い眼差しをして腰かけている小島。やがて立ち上がり彷徨いながら、ゆっくりしなやかにフラメンコを踊り出す。それは故郷の阿波踊りをも思い起こさせる。 「何をさがしているの?」ダニエルが問い掛ける。 「…

石井智子 現代舞踊公演 魂のDance in Tokyo「グラナダ―ロルカ―」

ロルカの詩の世界が濃厚に薫るようだった。 今回50回目を迎えた「都民芸術フェスティバル」。その中の現代舞踊公演では毎年3人の振付家の作品が紹介されており、そこに昨年文化庁芸術祭大賞を受賞した石井智子が名を連ねた。石井がこの舞台に選んだのは「ロ…

郄野美智子 パセオフラメンコソロライヴ

奔放でありつつ、郄野美智子に二言は無い。爆発したいと語っていた通り見事に燃焼し切った。 2度目となるパセオライヴ、郄野美智子はフラメンコのド真ん中にきっちり勝負を賭けてきた。バイレはグアヒーラ、タラント、ソレアの3曲。構成はギターとカンテの…

マリア・パヘス、シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS』

マリア・パヘスとシディ・ラルビ・シェルカウイの『DUNAS』、素晴らしかった。なんという大きな世界観。 マリアとラルビの思想は人間愛に根差されているがゆえにストレートに胸に入って来る。 否、内側に向くのではない、真に人間愛を知る時、想いは翼を得て…

故吉田秀和さんの言葉「バッハは邪魔しなかったな・・・」

「バッハは、邪魔しなかったな・・・」 暮らしの中で手を動かしながら、例えば、食事の支度、洗いもの、掃除などをこなす中で聴きたくなる音楽がある。様々なものを聴くが、今それはバッハに求めることが多い。 グールドの弾く『フーガの技法』を聴きながら…

「坂本龍一with高谷史郎 設置音楽2 IS YOUR TIME」

金曜日、仕事帰りに寄ってきた。 【坂本龍一with高谷史郎 設置音楽2 IS YOUR TIME】 暗闇の部屋に、プログラミングされた無機質にも感じられる音と光が断続的に繰り返されていく。 訪れる人々はがらんとした床にランダムに佇み、また腰をおろし、思い思いに…

『雪の華』

こんな夜に聴きたくなる、中島美嘉さんの『雪の華』。この歌は愛を失った女の歌なんだなって、 あなたの笑顔と声に記憶の中で触れるための歌なんだなって、 おもう。目覚めたくない夢の中の現在進行形・・・みたいで。https://www.youtube.com/watch?v=mF5Qq…