2018-10-07 乙川優三郎『太陽は気を失う』 「よい喜劇には悲しみがたくさんいるのよ」読み終わって残る切なさが、シビアでリアルなのがいい。 期待をやめたところから自分の人生が動き出す。 どんなに遅くとも。 それが自分だけのうれしい希望になる、と、乙川小説は示唆してくれる。 人生の終焉で、私は何を後悔するだろう? 改めて、そんなことを考えさせられる。乙川の言葉はいつも、生きる上での鎮静剤にも覚せい剤にもなってくれる。 乙川優三郎 短編集『太陽は気を失う』(文春文庫)