2015-01-01から1年間の記事一覧

おめでとうございます

「すべての生き物は”遺伝子の乗り物”に過ぎない」と聞いたとき、 生とは刹那的だなと自嘲する気分になった。 けれどふと気付く。 愛という燃料があるから、継ぐことができる。 人も、そしてきっと、 想いも。 はかないなりに、せいいっぱい生きよう。 年の初…

消滅したら

石垣りんの詩を、久しぶりに目にした。 飾らない言葉だからこそ、哀しみがすっと浸透してくる。 「声 石垣りんさんはどこにいますか? はい ここにいます。 はい このザブトンの温味が私です。 では いなくなったら片付けましょう」 自分が消滅したら、その…

NHKスペシャル「新・映像の世紀 第2集

「新・映像の世紀 第2集」をみる。 現代は、経済闘争に巻き込まれて生きるのみなのだろうか。 一握りの人間の富を築くため、欲望を満たすために、 多くの人間の生が踏みにじられることがあって良いわけがない。 生まれた国によって、生きている国によって、…

アルテイソレラ「infinito 〜無限〜」

アルテイソレラ「infinto〜無限〜」 「無限」という長い旅の始まりは、 「死」であった。 これこそが本質であることに気づかせてくれる。 それを忘れ、日々、怠惰に流され、享楽を求めてしまう。 否、頭の片隅に常にあるそれを払拭したいがために、 そうして…

アルバロさんの告別式(高円寺エスペランサ)

「日本の人たちが愛してくれたように、 彼もまた日本を愛していました。 日本で歌うことを愛していました」 アルバロさんのオメナヘ。 彼のごく近しい親戚であるダビ・ラゴス氏が、挨拶でそう語りました。 その言葉のとおり、会場となったエスペランサの空間…

スペイン国立バレエ団『アレント』

スペイン国立バレエ団のBプログラムを観てきました。 アントニオ・ナハーロの新作『アレント』が素晴らしい。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 身体で表現し得る美しいもののすべてがそこにあった。 スペイン舞踊を踊り分け、フラメンコを…

Kバレエ・カンパニー『白鳥の湖』

Kバレエ・カンパニー『白鳥の湖』 11月3日の舞台を観ました。素晴らしい舞台でした。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜真に美しいものを伝えるのに言葉はいらない。現世の何もかもを忘れ、意識が、ただ愛の深まりのみに満たされた。夢みるような心地を味わ…

冬の旅

積み重ねと 選択の繰り返しによって 今ここにいる。 道程は死ぬまで続く。 どんなに景色が変わろうと この道はどこまでも1本しかないのだから 愛おしみながら歩こう。 吉行淳之介の言葉に 「私」というものの内部にどこまでも潜り込んでゆき、 ついにはポッ…

「グラナダの夕べ」

ドビュッシー『グラナダの夕べ』(「版画」より)を サンソン・フランソワのピアノで聴く。 気怠いハバネラの調べ、 立ち昇るイスラムの薫り。 地つづきの異国への憧憬。 懐かしさが憂いとともに肌に沁み入る。 近くに感じながらも秘められた異なる時間の流…

ディエゴ・ゴメス ソロライヴ

パセオフラメンコライヴ Vol.009 9月24日(木) 於:高円寺エスペランサ 出演: ディエゴ・ゴメス(カンテ) エミリオ・マジャ(ギター) 野口杏梨(ピアノ) 森田志保(バイレ) 阿部真(パルマ、コーラス、通訳) 愛の優しさが深く心に沁み込んでくる。デ…

二重

子供の頃、一重まぶたの私は二重の母がうらやましく、なんで似なかったんやろと母に言うたびに、年取ったらこうなると笑いながらいうので、そんなん嘘やとずっと思っていたけれど、それは本当だったと、老いを感じる近頃になって知った。そしてそれは二重と…

日本フラメンコ協会 第24回 新人公演三日目に思ったこと

「ファルーコ、大好きなんです!」ファルーコ表紙のパセオをお求めのお客様に、「この写真、かっこいいですよね!」とお声を掛けると、そのように返してくださったときの満面の笑顔が忘れられません。そんなひとつひとつのやり取りがとても楽しかったです。新…

日本フラメンコ協会 第24回 新人公演初日

新人公演初日は、バイレ・ソロと群舞。 どの方の踊りからも、 生きているからこそ自身の中に湧き上がる喜びや哀しみに 向き合おうとする、真剣なまなざしが、 熱く伝わってきます。 それぞれの方の豊かな人生に思いをはせながら、 生き方そのものを昇華でき…

日本フラメンコ協会 第24回 新人公演二日目に思ったこと

「底なしの愛を注いでこそ高くて貴いものが立ち現われてきます」 新人公演プログラム冒頭にあった小島章司先生の言葉に、 心を揺さぶられました。無数のアートの中から、私はフラメンコに巡り合った。 人間の黒い部分さえもまるごと受け止めてくれる深い包容…

矢野吉峰ソロライヴ(パセオフラメンコライヴVol.007)

「エル・グイートのファルーカが原点にあります」 矢野吉峰さんは、息を切らせながら、そして満面の笑顔で終演後に語った。 ライヴが終わり、1時間近く経つだろうか、すでに着替えて来ているのに、したたる汗が止まらない。 このライヴで思いを遂げるために…

シンプル

大切なことはつねにシンプル。

渡りにフネ

「渡りに船」って、幸運な助け、みたいなイメージがあるけど、 その船は自分で操れないと、行きたいところには行けない。 うねりを乗り越えて沖に出られる。 強風をコントロールすることでスピードを得られる。 どこまで行くのも力量しだい。 学生時代、競技…

「カディスの赤い星ギターコンサート」

第7回「カディスの赤い星ギターコンサート」 7/19(日)草月ホール ジャンルを超えた、最高峰のギター演奏の数々を、親しみをもって堪能することができました。 第一部クラシック。国際的に活躍するギタリスト、福田進一さんのバッハから始まる。チェロソナ…

パコ・デ・ルシア追悼

美しい音楽を聴いた。それは天上に昇る響きだった。 クラシックギタリスト、福田進一さんと大萩康司さんのデュオによる、 ファリャの「スペイン舞曲第一番」と「火祭りの踊り」。 昨年急逝したパコ・デ・ルシア追悼のためのガラ・コンサート「パコ・デ・ルシ…

ミント

職場で育てているミントが一枝折れてしまったので、 持ち帰って水に差した。 (ミントは挿し木で増やせるそうです) 三日目に小さな根っ子を出した。 次の日、それはほんの少し伸びた。 そしてまた次の日の夜、 気付くとそれはか細く長くまっすぐに 先へ先へ…

徳永兄弟フラメンコギターデュオ

パセオライヴNo.006 徳永健太郎、康次郎兄弟によるギターデュオ、 疾走する快い超絶技巧に酔いしれました。 感性にブレーキをかけない清々しさ! まだ20代の彼らは、人生の憂いをこれから経験していくことでしょう。 そして彼らは、躊躇せずにそれらを受け入…

徳永兄弟フラメンコギターライヴ!(高円寺エスペランサ)

明日の(もう今日ですね)パセオフラメンコライヴは『徳永兄弟ギターライヴ』! お二方とも中学卒業後、セビージャのクリスティーナ・ヘレン・フラメンコ音楽学院で学び、卒業後は同校の講師として、そしてアーティストとして活躍。まだ20代前半という若さな…

ドラクロワ『ライオン狩り』 ボルドー展より

国立西洋美術館のボルドー展を見て来た。 ドラクロワの『ライオン狩り』はやはり凄かった。幅360cmの大作は二次元を越えた生々しい生命力を放っていた。 この絵はドラクロワがパリ万博出品のために描いたもので、後年、火災で上部を焼失してしまったの…

三日月

昨日の宵の月を忘れないでおこう。 住んでいる街の建物の間のはるか先、 澄んだナイトブルーの空に浮かび、 白く細い光を投げ掛けて来た三日月。 どんなに遠くても、そこに確実に在るもの。

「私は元気です」

ちょっぴり疲れて帰って、ふと鏡をのぞき込むと、 そこには母がいたような気がして、はっとする。 一番記憶に残っている母は、 今の私よりも少しだけ若く、 そして何倍も我慢強かった。 故郷で健在の母とは、ここ数年会っていない。

阿呆なりに

きちんと話そうとして、冷たい印象を与えてしまい、 大切な人を傷つけてしまったことがある。 壁というか、距離を置かれたと感じてしまったようだった。 私は、自分の浅はかさを隠そうとしていたのだと思う。 それはまったく意味の無かったことで、 素の私の…

カントロフの音色

ジャン=ジャック・カントロフのヴァイオリン、ジャック・ルヴィエのピアノによる、フランクのヴァイオリン・ソナタを久しぶりに聴く。 繊細な軽やかさの中に、艶やかな官能を滲ませている。 しなやかな音の流れにはいきいきとした推進力があり、 のどが渇い…

今を笑って

金子光晴著『絶望の精神史』(講談社文芸文庫)をたまに読み返しては、優柔不断に流れそうな気持ちを立て直す。 最近読んで、目に飛び込んできた箇所。 「日本人の湿っぽい心象を培養土としてはびこったもの ・・・ あのおびただしい仏教の因果話であった。 …

優先順位

会社時代の友人と二十数年ぶりに会うことになった。 「この土日のどっちがいい?」 どちらでも大丈夫だった。 この辺りに予定していたことは、どうにでもできる。 当然、土曜日を指定しました。 なぜか。 日曜日に会うことにしたとして、 土曜日に事故あって…

お鍋でごはん

お鍋でご飯を炊きました。 いただいたお米を美味しく食べたいと思いました。 粒がそろってる優しい白色をしたお米を、 きれいに炊きたいとも思いました。 吸水時間を気長に守り、 好みの硬めのご飯をワクワク想像しながら水加減し、 お米からご飯になってい…