日本フラメンコ協会 第24回 新人公演二日目に思ったこと

「底なしの愛を注いでこそ高くて貴いものが立ち現われてきます」
新人公演プログラム冒頭にあった小島章司先生の言葉に、
心を揺さぶられました。

無数のアートの中から、私はフラメンコに巡り合った。
人間の黒い部分さえもまるごと受け止めてくれる深い包容力。
そんなフラメンコの強靭で自由な精神に出会うことによって、
ともすれば世間という固定観念に手足をしばられたまま、
身動きが取れなくなってしまいそうになっていた自分は
救われたのだ、ということを思い出しました。
だからこそ、たとえマイノリティの立場であっても、
否、そうであるからこそ、
フラメンコというアートに惜しみなく愛を注ぎ、
感謝とともにその素晴らしさを伝えていきたい。
そのためにはまず、
自分の内にしつこく残る、凝り固まったこだわりから自らを解放して、
自分の本来の気持ちへと開けていく喜びを体現していくことなのだと思う。
それぞれの想いに価値があり、それを互いに認め合うことで、
真に共存できる。
極めて人間らしいものの尊さを、フラメンコは象徴している。

そんなことを考えながら観た、新人公演二日目。
佐藤幸子さんの、大地に根を張るようなソレアが心に沁みました。
エンリケ坂井さんの、人間の本質を射抜くような響きを持つカンテ、
そしてすべてを包み込むように寄り添う金田豊さんのギターとの
プリミティブな三位一体。
ここ数年、彼女の踊りを観るのが、
新人公演の楽しみのひとつとなっています。
そこにはフラメンコの原点があり、
そしてその大切なところに必ず立ち帰らせてくれるからです。