入交恒子 パセオフラメンコライヴVol.110

入交恒子さんパセオライヴ初登場。
小山社長の5年越しのラブコールが機を熟して実現しました。

これまで、テアトロは何度も観ていました。エレガントさの中に狂気の痛みを秘めたフラメンコはいつも鮮烈に刻まれました。
今夜、その踊りを至近距離で観たとき、これまで視えていたと思っていたものが、視えていなかったことに気付かされました。
それはラストのソレア。
テアトロの空気を支配する格調高さはそのままに、いえ、いっそう研ぎ澄まされていて、それを芯で支えるものは、甘やかさ、優しさ、生き辛さ抱え込んでしまう女の業であり、それを丸ごと生身で引き受けようとする凛とした覚悟。それらの昇華が、入交恒子のフラメンコである、と。
細身の身体で描くしなやかなラインの切ないほどの美しさ、衣裳選びにも表れる濃厚な色香を、気品に濾過していく入交さんの佇まい。瞬きも惜しいほど惹き込まれていました。

入交さんの学生時代からの憧れで、今なおその高みに辿り着けないという、高橋紀博さん(入交さんの夫君)、小原正裕さんのギター、セビージャの薫り高いプラテアオのカンテ、柔らかい磁力でその場にいる者を結びつけていく容昌さんのパーカッション、20年来入交さんのもとでフラメンコを磨き続けてきたカンパニーの人たち。温かなセッションでした。
今日という日を待って良かった。

パセオフラメンコライヴVol.110
5/9(木)高円寺エスペランサ
バイレ:入交恒子
カンテ:エル・プラテアオ
ギター:高橋紀博/小原正裕
パーカッション:橋本容昌
マルガリータフラメンコカンパニー:
工藤栄/宮本絵美/諏訪部智子