井上圭子 パセオフラメンコソロライヴ

6/14は井上圭子さんのパセオソロライヴでした。
可憐な佇まいに貫録を滲ませるフラメンコ。
祈りや希望を強く抱けるのは、負の想いを深く抱えるからこそ。井上圭子さんのフラメンコには、そんな人間的な葛藤がぎゅっと凝縮されていました。それは「我」のものではなく、どこまでも他者の想いを抱擁しようとする優しさに満ちたものでした。

「それを生んだ土地を見なければ」
ラ.ウニオンに出た時、実際に鉱山に行ってみたそうです。険しい断崖、殺伐と広がる海、野犬の遠吠え。孤独な土地で働き、生きて帰れなかった人もいるだろう、荒涼とした光景を目の当たりにして初めてタラントを理解できたと感じた、と圭子さんは語ってくれました。

彼女の暖かな包容力のある踊りは共演者たちそれぞれの一番チャーミングなものを引き出していました。
祈りのカーニャ、悼みのタラント、そして希望のアレグリアス。
そしてラストのエレガントなレヴェランスは、共演者への敬意と観客への感謝に溢れていました。
幕が下りるまで舞台人である矜持の美しさに打たれました。

6/14(水)パセオフラメンコライヴVol.058
井上圭子 ソロライヴ
高円寺エスペランサ
井上圭子(バイレ)
エル・プラテアオ(カンテ)
三木重人(ヴァイオリン)
三枝雄輔(パルマ
鈴木淳弘(ギター)