エンリケ坂井 ギター&カンテ パセオソロライブ

エンリケ坂井さんのギター、カンテ、パセオソロライブ、素晴らしかった。
フラメンコの酔いから醒めないでいる。醒めなければよい、酔ったままでいいとおもう。
いたとたんにビビビッと胸に響く、あのしゃがれた声が好きで堪らない。
ペペ島田に捧げたシギリージャ。エンリケさんはその記憶に没頭し、涙する。聴く者の心をいやおうなく揺さぶる。

弾き語りの、ソレア・アポラー。
月夜の荒涼とした大地を独りゆく光景が見えた。
歌とは、孤独な歩みの中で自分自身を奮い立たせるためにあるのではないか。
ギターの音色とエンリケさんのしゃがれた歌声が、ひとつとなって溶け合っていく。
その湿度が胸になだれこんでくる。

飾らない、迷わない姿の究極を、刻みつけよ。
エンリケ坂井さんの来し方、スペインの古き良きタブラオの光景が、セピア色の舞台に立ち昇っていった。
何も足さなくていい、引くこともない、フラメンコの美しき原形がそこに在った。

6/8(木) パセオフラメンコライヴ Vol.057
エンリケ坂井 ソロライヴ
於:高円寺エスペランサ
ギター&カンテ/エンリケ坂井
パルマ/山谷祐子 佐藤聖