2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

幸田文『流れる』

幸田文『流れる』を読む。 40歳を過ぎて、芸者の置屋の住込み女中となったひとりの女性の目を通して、 戦後花街の裏側にある日常や作法、そして事件が生き生きと描かれていく。 この作品は、作者の幸田文自身が47歳の頃、実際に柳橋の置屋に住み込んで働いた…

好きなもの

ほんとうに大好きなもののことは 恥ずかしくて言葉に出せない。 それは自分に欠乏しているものだから。 叫びたいほどの想いは 胸の内を満たすのではなく 真空にしていく。 どうしようもなく 好きなものに捉われてしまうのは 嬉しくて 哀しい。

カラヤンのブラ4

カラヤン指揮、ベルリン・フィルによる ブラームス「交響曲第4番」を聴く。 気持ちが千々に乱れるときは この聴き慣れた音楽を手に取ってしまう。 重厚な音楽を流麗に響かせ 滑らかに前進していく。 洗練された弦は 怜悧な肌触りを持つが その澄み切った音の…

『のりしろ』

「しゃべり過ぎだよ」 友人が苦笑しながら言う。 さりげなくたしなめられたのだった。 すぐにそう気付いて、 恥ずかしくなった。 ずいぶん前からとても楽しみにしていたクラシックコンサートを観た後、 その抑えられない興奮を、一緒にお茶を飲んでいた友人…

小島章司特別出演『洞の女』

5月21日(水)『バラと桜の祝祭』二日目 (池袋 東京芸術劇場プレイハウス) 小島章司さんが特別出演、振付をされた、現代舞踊企画作品『洞の女(どうのひと)』が素晴らしかった。 異質なものと出会う歓び、苦悩、そしてそれぞれが抱える深い孤独という普…

『バラと桜の祝祭』初日

フラメンコの豊饒な広がりを感じました! フラメンコとモダンダンスのコラボレーション『バラと桜の祝祭』初日の舞台を観て来ました。 山田恵子さんと花輪洋治氏による、誇り高いスペイン舞踊『ソレア風の前奏曲』で幕が開く。 加藤みや子ダンススペース『カ…

第6回 逢坂剛 カディスの赤い星 ギターコンサート

第6回 逢坂剛 カディスの赤い星 ギターコンサート 5月18日(日) 草月ホール 【ギター】 沖仁/グリーシャ/逢坂剛 「煌めく星の融合」 初めて会うという感じがしない、と沖仁は言った。 ギタリスト同士で共演すると一瞬で相手の歩んで来たギター人生が…

『バラと桜の祝祭』いよいよ開催!

モダンダンスとフラメンコの華やかなコラボレーション! 現代舞踊協会と日本フラメンコ協会の初めての交流公演が、 日本スペイン交流400周年という節目に実現します。 フラメンコ(スペイン)を「バラ」に、 現代舞踊(日本)を「桜」に例え、 「バラと桜の…

吉野弘『生命は』

吉野弘『生命は』 詩人、吉野弘さんの随筆がいい。 生命の原理の向こう側にある本質を心の眼差しで捉えていると思う。 (以下引用) 「(虫、風、水…、)花が実を結ぶために、花以外のものの力を借りるという仕組み……、ここには、生命の自己完結を阻もうとす…

5月

5月がこんなにも美しかったなんて。 昨日見た新緑の眩しさが胸に焼き付いている。 葉先にまで 水分を流動させている肉厚の葉が 無数に生え 豊かに枝を覆いつくし 深い緑の波となっていた。 傾斜にある木々は なだれ落ちそうな重量感を湛えながら しっかりと…

映画『男と女』

男と女 特別版 [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2006/10/06メディア: DVD クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る好きな映画のひとつ。 恋愛映画というジャンルに限るとしたら、 どこまでもシンプルで深いこの映画が一番か…

今井翼『バーン・ザ・フロア』

5月3日(土)は、今井翼さんの出演する『バーン・ザ・フロア』を観に行きました。今井さんの芯にある超弩級のフラメンコ魂に感動。 (於:東京 渋谷 東急シアターオーブ) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 官能のエネルギー全開!…

流さない

違和感を 違和感として 流してしまうのではなく そこに埋もれている 真実を すくい取り 柔らかな 光に照らすように それに寄り添いたいとおもう。