今井翼『バーン・ザ・フロア』

5月3日(土)は、今井翼さんの出演する『バーン・ザ・フロア』を観に行きました。今井さんの芯にある超弩級のフラメンコ魂に感動。
(於:東京 渋谷 東急シアターオーブ
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官能のエネルギー全開! 今井翼さんのダンスパフォーマンスに胸が熱くときめいた。

『バーン・ザ・フロア』は、1999年の初演以来、ショービジネスの本場ニューヨーク・ブロードウェイやロンドン・ウエストエンド等、世界各国で公演を重ねてきた極上のダンスショー。日本においても観客を魅了し続け、今回が8回目の来日公演となる。

その刺激的なダンスエンターテインメントの舞台に、今井翼さんは前回2012年の公演でアジア初のゲストダンサーとして抜擢され、それに引き続いての2度目の出演を成し遂げた。

深く帽子をかぶっていても、登場した瞬間に今井翼さんと解る。この公演のために今井さんは、トップアスリートの実践するトレーニングと食事制限を学び、5キロ減量したという。その引き締まった身体は誰よりもしなやかな細身で、情熱の中に繊細さを滲ませていた。そして今井さんは、ジャニーズのアメリカンエンターテインメントとフラメンコの重厚性で鍛え抜かれた精神と肉体でこの舞台に挑みながらも、伝統あるボールルームダンスへの敬意を決して忘れない。それはこの踊りの要となる柔軟でセクシーな腰の動きを見事に自分のものにしていることからも伝わって来る。そして彼のダンスパフォーマンスは前回よりも格段の進化を見せていた。そういった不断の努力が周りの人たちにも伝わり、心を動かすのだろう。

今井翼さんはもはやゲストではなく、彼らと心をひとつにした仲間であった。オープニングはもとより、流れの中で何度も訪れるクライマックスを形成する群舞のナンバーの中で、今井さんは常にセンターに立つ。そしてトップクラスのダンサーたちが横一列となって踊り尽くす壮観なパフォーマンスを、今井翼さんはその情熱のほとばしるアイレで鮮やかに引っ張り、踊る歓びの頂点へと導いていく。今回の舞台にはラテンの世界チャンピオンも加わっており、いっそうブラッシュアップしたショーとなっている。そこに今井さんは鮮やかに溶け込みながら、尚且つ独自の輝きを強烈に放つ。パッションとエレガンスに満ち溢れたボールルームダンスに、フラメンコの重みと憂いを浸透させ、パフォーマンスに深みと奥行きをもたらしていた。

特に印象深いのは、チェアダンス「クラブ ナルシス」。椅子を使ったカップルたちのセクシーな群舞。ここでも今井さんは中心となり、前回以上に官能を深めて踊っていた。若々しい鋭さに加わったものは、相手の女性の反応を楽しみながらじっくりと落としていく、心憎いまでの大人の余裕。そのエクスタシーの虜になる。今井さんはここでも深化を見せていた。

アンコールは圧巻のブレリアそのものだった。座ってなんかいられない。観客席はまさに総立ち。歓声が飛び交い、すべての人々の息が合った手拍子が会場に充満する。誰もが音楽と同化する快感に酔いしれ、心を震わせ全身を揺らしていた。そこにはアウェイ感など微塵も無い。今井翼さんの芯にある超弩級のフラメンコ魂の沸騰だった。