アルテイソレラ「infinito 〜無限〜」

アルテイソレラ「infinto〜無限〜」

「無限」という長い旅の始まりは、
「死」であった。
これこそが本質であることに気づかせてくれる。
それを忘れ、日々、怠惰に流され、享楽を求めてしまう。
否、頭の片隅に常にあるそれを払拭したいがために、
そうしてしまうのかも知れない。
だからこそ、「死」に向かっていく事実と向き合おう。
女は苦しみに耐えながら子を産む。
3人の子を産んだ記憶が生々しく蘇る。
子もまた、産道を通る痛みに苦しみながら生まれてくる。
そして、生れ落ちた瞬間から、
死に向かって朽ち果てていく。

人間はなぜ「意識」を持ってしまったのだろう?
なぜ、ただ個体として発生し、在るだけのまま、
死滅していくことが出来ないのだろう。
そうなれたら、どんなに楽か。
「生きる歓びを」と誰もが謳う。
生きることは苦しいことが大前提だからではないか?
それが摂理となっているのならば、
肚をくくって、自らを鼓舞し「歓び」を創り上げるのみだ。

鍵田真由美さんの、驚異的な身体能力。
大沼由紀さんの、過去の自分を捨てていく挑戦。
そして、松田知也さんの、羞恥の鎧をすべて脱ぎ捨てる覚悟。
その根底には、
哀しみと苦しみのカオスが渦巻いているのがみえる。
けれど、力を振り絞ってそれを突破していく強靭な人間力に、
私たちは憧れ、惹かれずにはいられない。

お前は、身体を限界まで使っているか?
お前は、精神を極限まで張り巡らせているか?

佐藤浩希さんは自らの作品を通して、
いつもそう問いかけて来る。
狂気の境目で高らかに笑いながら。

その突き抜けた明るい笑い声に大いに誘われ、
私は何かをせずにはいられなくなるのだ。

生と死の狭間にある限りある命、
だからこそ、
人間の豊かな無限の可能性を
畏れることなく探り続けたいと
新たな気持ちで希いながら。

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11月26日(木)19:00開演
日本橋劇場