大沼由紀 パセオフラメンコソロライヴVol.91

「グルーヴと確信」!
つい最近、ガルロチで視たマエストロ・カナーレスに爆発的に漲っていたものが、大沼由紀さんにもがっつり宿っていた。

小手先とか技術とか美とか、そういったものはもう求めてはいない。自らが掴んだ自分にしか見えないものだけを求めていた、あの目。
ごくシンプルなのに獰猛な気配を感じさせ、それでいてコンパスは的確に繰り出され、音楽を巻き込みながら創り上げて行く。いやがおうにも内臓の底からドクドクと昂揚していく。大沼さんがかつて体現していたジャズと舞踏の底深い昏さの何と魅惑的なことか。

アレグリアスなのに狂気に近い怖さを感じる。予測のつかないスリル。けれど大沼さん自身は澄んだ目でまっすぐに掴むべきものを捉えていたはずだ。私たちには視えなくとも、そこに「確信」が予感できるゆえに、私たちは引き込まれていく。
何を目指したらいいのか、大沼さんが迷走しながらも挑戦を繰り返していた時期があった。そこを諦めずに抜けた者しか持ち得ないひとつの到達の強さと眩しさがあった。

パセオフラメンコライヴVol.91
大沼由紀 ソロライヴ
2018年6月14日(木)
高円寺エスペランサ
大沼由紀(バイレ)
クーロ・デ・ラ・チクエラ(カンテ)
西容子(カンテ)
山内裕之(ギター)
伊集院史朗(パルマ