アストラッド・ジルベルト

 節操なく音楽ならわりと何でも聴きます。
 ひとつのジャンルを追及する集中力のない自分に苦笑しながらも
 そういうことが気分を変えてくれるような救いとなっていて 
 フラットでいられるのかも知れないなとも思う。

 初夏を感じるようになると
 アストラッド・ジルベルトのボサノバが聴きたくなる。
 といってもそんなに詳しいわけではなく
 ベスト盤を学生のころから数十年来聴き続けている程度だけれど。

 夏の木陰で風を感じるような心地よさがある。
 気持ちがちょっぴり沈みがちなときでも
「いそしぎ」や「黒いオルフェ」を聴いていると
 淋しさの中に木漏れ日が射すような明るさを感じて
 淡い希望が生まれてくる。
 
 諦めにも似たクールな
 けれど優しい乾いた歌声が
 肩の力みをそっと取り除いてくれる。
 あ、このままでいいんだって思えてくる。

「FRY ME TO THE MOON」
「DAY BY DAY」
 と聴き進んで
 このCDのラスト近くの
「LET GO」あたりになると
 いっしょになって鼻歌を歌っているくらい
 すっかりごきげんになっていたりします。