ひだを形成するもの

 なぜ美しいと思うのか
 なぜ哀しさを感じるのか
 なぜ切なさを残すのか

 溢れてくる感情の奥へと分け入って
 そのひだを為してうごめいている
 細密なかけらたちを取り出して
 柔らかな光にさらしてみたい

 熱を帯びながらも抑制された舞踊には
 そう想わせる何かがある

 それは忘れたい過去を呼び覚ますものであり
 触れたくない劣等感と向き合うことでもある

 けれどそうやって抱えてきたものが
 あの静謐な踊りの奥にあるものと
 響きあえたのだとすれば
 それは救いになるのではないか?