エミール・ギレリスのピアノ協奏曲第5番『皇帝』

ロシアピアニズムを代表するエミール・ギレリスベートーヴェン、ピアノ協奏曲第5番『皇帝』を聴いている(ジョージ・セル指揮 クリーヴランドオーケストラ)。
「鋼鉄のタッチ」を持つと称賛されたギレリスは謙虚な人であったという。彼の超人的なテクニックは自我の表現のためではなく、曲に込められた偉大な音楽家の哲学を体現するために捧げられていることが伝わってくる。その深い誠実さが胸を打つ。
重厚で豊かな煌びやかさを持つ音色によって奏でられる『皇帝』は、ベートーヴェンの意志を映し出すかのように、普遍的理想に向かって何の迷いもなく潔く突き進んで行く。
その堂々たる推進力は優柔不断な私を導き、そして背中を押してくれるのです。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番