節目は自分の内に在る

節目は自分の内に在る。

昨年は新しい場所に飛び込んだ年であり、
変化は大きかったはずなのに、
それは今までの経験の積み重ねが自分の中から溢れだしたような、
ごく自然な流れであったことに気付く。

晦日から新年のへと移り変わる時を、お節の支度に追われながらも、
淡々とした心境で過ごす。

人の生きる時間の流れはその人のものであり、
節目は自分の内に在るのではないでしょうか。

年が明けた深夜に聴きたくなったのは、
シャルル・ミュンシュ指揮、パリ管弦楽団による、
ブラームス交響曲第一番。

ドイツ系フランス人の巨匠が指揮する名盤中の名盤、
若い頃に聴いたときは、この堂々たるテンポの演奏を
少々重く感じていました。

けれど今は、演奏者たちが自ら奏でる旋律に耳を澄まし、
自身の憧憬を投影しながら、
豊かに歌い上げていることが解る。

そしてどの音も欠けては成り立たない重厚なスコアから、
ミュンシュは、その瞬間ごとの最高のハーモニーを抽出し、
厳格な鎧の内側にあるブラームスの美しいロマンティシズムを
際立たせていく。

年を重ねて来たからこそ聴こえて来る、
そして見えて来る、本質。

慣習にも先入観にも、もう捉われることはない。
ビジョンに向けて、嬉々として
自分の身を削り、
時間を捧げていきます。

関わってくださっているすべての方々に、
心からの感謝を込めて。