好み

 好きなもののイメージというのは
 生まれた時からすでに自身の内に
 在るのではないだろうか。
 最近ふとそんな気がしています。
 
 一枚の絵
 一枚の写真
 ひとつの音楽のフレーズ
 舞台の残像

 共通項は一見なにも無いのだけど
 巡り会った瞬間に胸が痛くなるような同じときめきがある。

 たくさんのことに出会いたくて
 観たり、聴いたり、やってみたりするのだけれど
 求めれば求めるほど
 様々な分野へと視野を広げていくようにみえて
 じつはそれは自分の本当に好きなものを確認する作業となり
 そこにさらに深く集約していくのではないか。

 出会ったときの歓びは
 何年も何十年も経った今も変わらず
 それを想うたびに
 締め付けられるような愛おしさを感じる。
 これほど長く続くものだとはそのときは想像できなかった。
 
 生きていくことは
 何かを探し求めて彷徨うのではなく
 行き着くところに向かっていくことなのかも知れない。
 そう考えるようになったら
 好きなものがより輝きを増したように思えて
 嬉しくなってきました。

 それらは
 はかないのに重いもの。
 手に取ることが出来ないのに確実にあるもの。
 こういうものが私を内側から支えてくれていたということに
 やっと気付きました。