イザベラ・ロッセリーニの湿度
たまたま家にあった情報誌(IMPRESSION 9・10月号) を手に取って最初のページを開いてみたら目に飛び込んできたのが、イザべラ・ロッセリーニの凛とした表情だった。
今秋のブルガリのバッグ「イザベラ・ロッセリーニ」コレクションの広告。
映画「ホワイト・ナイツ」(もう20年以上も前です)に出演している姿を観たときから、この人の醸し出す雰囲気に憧れていた。それほど多くの作品を観ているわけではないけれど、脇役などで見かけたときも独特の存在感があった。化粧品のランコムのイメージモデルだったこともある。そのナチュラルな笑顔の美しさに惹かれて、ファンデーションや口紅をランコムのものに変えたりしていた。
均整のとれたスリムなスタイルを持っているわけではないけれど、咲き誇った薔薇が崩れ散る寸前のようなしっとりした重みがある。そして熟れた果実が芳醇な匂いを放つような湿度がある。
ハリウッド女優の人工的な美しさよりも、このようなヨーロッパ女優の生の女の美しさの方が、私は好きだ。
1952年生まれのイザベラ・ロッセリーニは、この広告では60歳ということになる。日々の生活に誇りを持ち続けて来たことが、母親イングリッド・バーグマン譲りの品格ある美貌に、豊饒な色気と知性を加えている。素の表情の中にそれが現れているのが素敵だとおもう。
私もこんなふうに齢を重ねていこう。
それにしても、ハイブランドにはまったく縁がないけれど、このような一枚の広告写真の中にも込められている、究極の美を追求するエネルギーには圧倒される。
ブルガリの広告写真
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