ガラスを隔てた眼

 吉行淳之介著「男と女の子」読了。
 
 吉行淳之介さんは敏感過ぎる心をさらしながらも
 感情に溺れることなく
 それを一枚のガラスを隔てて視ているような冷静さで
 男女の関係性を表現する。
 
 その冷たさが、
 却ってその奥に閉じ込めておこうとしている
 繊細さや情感の気配を感じさせるのだとおもう。
 
 その作品群を読まずにいられないのは
 共感するから
 と、いうより
 そんなふうに行間から浮き上がってくる感情に
 寄り添ってみたいからだと
 自覚している。