アファナシエフの「シューベルトのピアノ・ソナタ第21番」

 
アファナシエフの演奏する
シューベルト最後のピアノ・ソナタ第21番をよく聴くようになった。
 
ずいぶん前、ブレンデルの演奏で聴いていたことがあったけれど
ただ冗長で退屈だとしか感じとることができなかった。

今も理解しているとは思っていないが
アファナシエフのほの昏い音色は
その瞬間ごとの移ろいが様々に胸に沁みてくる。
解ろうとする必要はないのかもしれない。
シューベルトも心に浮かぶ言葉のままに
詩を書いていくように
この調べを綴っていったのかも知れない。
 
空間に漂う響きを頭で捉えようとしてはいけないのだと
今さらのようにおもう。
特に死の直前にシューベルトの胸に過ぎった
この音の世界観を。