アファナシエフは語る

ブラームス:後期ピアノ作品集2

ブラームス:後期ピアノ作品集2

ブラームス:後期ピアノ作品集

ブラームス:後期ピアノ作品集

土曜日はヴァレリー・アファナシエフのピアノリサイタルを聴きに
紀尾井ホールへ。

鋼鉄のタッチを持ったソ連の名ピアニスト、エミール・ギレリスに師事したアファナシエフ
文学者でもある彼は、師ギレリスから受け継いだロシアピアニズムの重厚さに哲学思考的な湿度をもたらし、音を放っていく。

プログラムはオール・ブラームス
後期ピアノ作品116から作品119を、途中10分ほどの休憩を入れながらも、
思想書を執筆するような集中力で弾いていく。
この日の客席は男性が多くを占めていたのだが、
彼らもまた、アファナシエフの筆跡を読み進んでいくような
厳かな緊張感をもって聴き入っていた。

ブラームスとはいえ、決してドイツ・ロマン派の甘さを求めてはいけない。
それは大きく裏切られる。

ロシアからベルギーへ亡命した経歴を待つ
アファナシエフのピアノは
人生はこんなにも重くやっかいなものだ。
けれどそれこそが素晴らしい充実ではないか、
と、ブラームスのずっしりとした厚い和声の響きで、
語りかけてくる。