ポリーニ ブラームス『ピアノ五重奏曲 ヘ短調作品34』
- アーティスト: ポリーニ(マウリツィオ),ブラームス,イタリア弦楽四重奏団
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2001/02/25
- メディア: CD
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冒頭こそ互いに探り合うような慎重さを見せるが、本筋に入った途端、全開の気迫で音が流れ出す。ブリリアントなピアノの粒ぞろいの音が疾走し、艶やかで張りのある4つの弦が、それぞれにソロの存在感をもって覆いかぶさるように絡んでくる。
ブラームス特有の厚い内声音は、ハーモニーによる重厚さというより、個々の旋律のぶつかり合いによるエネルギーの熱さを生み出す。
それは北ドイツ生まれの思慮深い内面での葛藤ではなく、爆発寸前の雄々しい闘争。けれどそれらは知性によって絶妙に制御されていて、時折垣間見せる荒々しさの火花さえいっそう魅力的なものにする。
弦とピアノが互いに追い上げ、引き離し、追いつき、追い越す。挑発と冷静の間を行き来するような、そんなスリルに満ちた真剣勝負の競演が繰り広げられていく。それらは渦巻くように一体となり、一気にクライマックスを駆け抜けていく。熱狂はあっさりと終焉し、華やいだ高揚感だけが残る。彼らがイタリアの人であったことを思い出す。