フィエスタ・デ・エスパーニャ 二日目(2013-11-24)

『フィエスタ・デ・エスパーニャ 二日目』(2013-11-24 於:代々木公園)

 フェイスタ・デ・エスパーニャ二日目、この日は丸1日はいられなくて、少しだけ観て来た。
 
 午前中の「大渕博光 y su grupo」、それから「神谷朱里 Spanish piano crew」にベニート・ガルシア氏がゲスト出演するとあったので、そのふたつだけを観て帰った。両方とも約30分間の短いステージなのだが、行って良かった。

 大渕氏はメインボーカルとして舞台に立ち、シンガーソングライターとしての独自の世界を歌い上げた。これまでカンタオールとしての活動しか観たことがなかったのだが、あの独特のソフトな雰囲気は、昨日のジャズの舞台といい、歌手としてのこのような背景を持っていることから来ていたのだということを今回知った。歌に幅があるというのはいい。何かの分野に一筋、というのも素晴らしいことだと思うけれど、今の時代は純粋を保つというのは不可能に近いだろうし、様々なものが影響し合うことで奥深さを増していくアートというものにやはり惹かれる。

 そして、神谷朱里さんのスパニッシュ・ピアノ。演奏はもちろんだが、ゲストとして出演したベニート・ガルシア氏のフラメンコがとても良かった。『火祭りの踊り』など4つのピアノ曲が演奏され、ゲストはパルマでそれを支え続ける。そして最後の4曲目にベニート氏がほんの一振りだけ踊った。短い時間だったけれど心を込めて踊っているのが伝わって来て、印象に深く残った。

 上藪洋子さんがデザインしたという、着物をアレンジした衣裳が美しかった。ベニート氏は留袖を用いた衣裳を身に付けていたが、それを違和感なく着こなしていて、和洋の文化が彼自身の人柄と一体化しているようだった。日本を心から愛していることがそこに滲み出ていた。

 ベニート・ガルシア氏を何枚か撮影していて、イケメンはどのように撮っても絵になるなと思っていたが、後で改めて写真を眺めながら、そういった考えは少し違うのではないかと思い直した。やはりフラメンコという芸術に対する敬意、その姿勢が、表情に現れて来るのだと気付いた。決して取り繕ったりしない、表裏の無い誠実な心でフラメンコに対峙しているということが一枚一枚に表れていた。

 肩の凝らない、けれど本物のフラメンコに触れることのできた2日間だった。

 

「大渕博光 y su grupo」
(【ボーカル】大渕博光、【ピアノ】斎藤タカヤ、【パーカッション】ペッカー、課【コーラス/バイレ】やのちえみ)

「神谷朱里 Spanish piano crew」
(【スペシャルゲスト】ベニート・ガルシア【ギター、歌】須田隆久【パルマ】上藪洋子、田倉京)