日本近代文学館「声のライブラリー」

詩人と小説家、その生の声もやはりじわじわと心に沁みて来た。

日本近代文学館「声のライブラリー 〜自作朗読と座談会〜」に
初参加して来ました。
「二人の文学者が自作を朗読後、司会者を交えて座談会をおこなう」
というライブイベント。
第76回の今回は、詩人の阿部日奈子さんと作家の絲山秋子さんが自作を朗読、
そして詩人の伊藤比呂美さんが司会をされました。
伊藤比呂美さんを拝見できたのが嬉しかった
朗読されなかったのは少し残念でしたが、
司会者として軽妙な笑いをもって本質に切り込んでいく姿からは、
飾らない言葉でリアルな感情を描く作品群から想像していた通りの、
伊藤さんの開けた暖かい人柄が伝わって来ました。

座談会の「詩と小説」についての対話が面白かった。
話を聞きながら漠然と思ったのは、
小説の言葉が「ゆるい」というのは、
外に広がっていく想像力をもって書かれているからではないか、
そして詩の言葉が突き刺さってくるのは、
自己のリアルの本質を追求してピンポイントで抉り出しているからではないか、
ということ。
詩人の伊藤さんが、小説は自由に書いていいと言われたけれど難しかった、
詩の方が自由、というようなことを語っていたのが印象的だった。
結論としては、詩も小説も進化していて現代においては境界がない、
ということになっていたけれど。
厳密ではない、楽しい言葉の流れを感じる座談会。
それでもひとつの言葉に対する追求の仕方には鋭いものがあった。
言葉の背景にある意味の深さと広さを
常に意識しておきたいと考えさせられました。

以上取り急ぎ覚え書き。

駒場公園には以前来たことがありましたが、
日本近代文学館に立ち入ったのは初めて。
館内は木と紙の薫り漂う重厚な空間でしたが、
雪の坂を上って辿り着くのがやっとの身で、
その雰囲気をゆっくり味わう間もありませんでした。
歴史ある庭園の美しい雪景色を撮ろうと、
カメラも持参していたのですが、
残念ながら大雪で公園内は閉鎖。
外から撮ろうとも考えたけれど、吹雪の中でカメラを構える余裕も無かった。
元体育会ヨット部員のド根性は海限定でした(^_^;))

日本近代文学館
http://www.bungakukan.or.jp/