魂の詩人 ロルカとアンダルシア〜『アイナダマールへの旅』〜

感じたことを取り急ぎ。
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『魂の詩人 ロルカとアンダルシア』
6月28日(土)日生劇場

美しいものははかない。
リベラルな思想を持ったロルカは、
ヒターノたちの猥雑なたくましさの中に
凄絶な美学を感じとっていた。
瞬間のエネルギーに溢れた
刹那的な生き方の背後には
常に死が意識されていた。
その陰翳に、ロルカは惹かれたのではないだろうか。
けれど、その憂いに満ちた音楽や舞踊を魂で感じ取り、
実際に採取し、共に演奏しながらも、
ロルカは、その繊細さゆえにスノッブな距離を保ち続けるしかなかった。
舞台では、その距離感が浮き彫りにされていた。
グラナダの昏さに想いを深めながらも、
どこまでいっても相容れることのない
浮草のような孤独感がつきまとう。
安全な場所で生きて行く道はあるはずだったのに、
昏いところへどうしようもなく引き込まれてしまう、
切なく漂う魂が、
死を呼び込んでしまったようにも思える。
無意識を支配していた死が
ヒターノとロルカを結び付けていた。
皮肉にも、そのギャップは、
ロルカの凄惨な死をもってはじめて
埋めることが出来たのかも知れない。