ささやかでも命懸けで生きる 『トワイライト・シャッフル』

(引用)
「親も世間も物分かりがよくなって自由に生きられるようになったのはいいが、考えてみると男も女も我儘な臆病者になったような気がする。
 本当の自由はたくましい人間に許されるもので、非常識に見えても彼らは命懸けで何かをしている」

乙川優三郎の、初の現代小説『トワイライト・シャッフル』読む。

トワイライト・シャッフル

トワイライト・シャッフル

珠玉の13篇。うち11篇は女性が主人公。
抑制された描写だからこそ、静かな意志をリアルに感じる。
慎ましく、閉塞されたともいえるような日々の暮らしの中でも、
彼女(彼)らは、自らの内に在る誇りを捨てないことを選び取って
新たな一歩を踏み出していく。

自分自身の優柔不断さに嫌気がさしてどうしようもない時、
私は何らかの解を求めて、この小説家の作品を手に取る。
そして、淡々とした辛口の言葉に叱咤される。
余分なものを捨て去り、潔く生きて行こうとする
女たちのすっきりとした佇まい、その清々しさが眩しい。
私もそこに行きたいと強く思う。