バレエ・リュス展

バレエ・リュス展を観に行きました。

強烈な個性の競演。

ディアギレフ、ニジンスキーはもとより、ブラック、マティス、キリコ、ピカソローランサン
ドビュッシーラヴェル、ファリャらの名前が至るところにみられます。

衣裳、音楽、振付、舞台美術、そして舞踊、
またプログラムデザインという細部に至るまで、
それぞれに与えられた仕事に対して、
歴史に名を残す当時の前衛芸術家たちが、
彼らのインスピレーションの結晶をそれぞれに惜しみなく注ぎ込む。
協調や遠慮といった甘えは一切ありません。
独立したプライドと過剰なほどの気迫を粋な遊び心でさらりと包む。
その輝きのベクトルは舞台に向けて一致した流れとなり、
壮大なスぺクタルを生む、時代の最前線。

出し惜しみすることは、アートへの最大の冒涜であり侮辱であるのだと思います。

広々としたほの昏いワンフロアに、
エキゾチックな衣裳をまとった約200体のトルソーが佇む光景は、
幻想と現実の狭間にいるような、不思議な高揚感をもたらしてくれます。

それらは演目ごとにサークルを描くように並べられ、
全ての衣裳が360度の方向から見ることができます。

衣裳に包まれていたはずの100年前のダンサーたちの鼓動が聴こえて来そうでした。

写真や映像で強烈な存在感を放つニジンスキーは、
彼の着た衣裳から、スリムで引き締まった小柄な肉体の持ち主だったことがわかります。
ディアギレフの愛人でもあったという官能の気配を生々しく感じてしまう。

図録にあった言葉にハッとさせられました。

「彼ら(芸術家たち)の作品は、バレエ・リュスの舞台を芸術的体験とデザインの革新の場へ帰ると同時に、自らの芸術活動の範囲や適用範囲を、イーゼルとアトリエを超えたところへと拡大した」

固定概念はいらない。

舞台に関わる方々すべてに、この時代ならではの得難い熱に触れてほしいと思います。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2014/Ballets_Russes/