小島裕子 パセオフラメンコソロライヴ Vol.106

3月14日は、小島裕子さんのパセオフラメンコソロライヴ。

ラストのソレアの光景が忘れられない。
足元から満たされていく静かな充実。けれんやはったりは1ミリも無い。日々生きていく中の苦しみも喜びもすべてを真正面から請け負い、全身全霊で、かつ細やかに心を砕いて当たっていく彼女の誠実さが滲む。

身を削る痛みを、小島さんは、誰の言葉にも振り回されることなく当たり前のものとして淡々と受け入れ、その在り方は確実に周りの人々を救っている、聖女の美しさ。思わず背筋が伸びる。
ぶれることが皆無といっていい、重心と軸の抜群の安定感は、彼女がどれほど基礎力を大事に育てて来たかが分かる。

スペイン人たちによる濃厚なコンパスをたっぷりと感じながらも、いたずらに飛び出すことはせず、決して守りに入るのでもなく、彼女自身が小柄な身体でコンパスを抱く包容力に、どうしようもなく胸を打たれた。

パセオフラメンコライヴ Vol.106
小島裕子 ソロライヴ
2019年3月14日(木)
高円寺エスペランサ
バイレ:小島裕子
カンテ:モイ・デ・モロン
ギター:パコ・イグレシアス

(撮影 井口由美子)