第8回カディスの赤い星コンサート

【支えてくれる人がいるから】

9/30は、8回目となる「カディスの赤い星」ギターコンサートでした。
フラメンコギターの良いものを残していきたいという、
逢坂剛さん、そしてプロデューサーの太田修平さんの想い、
というよりも"祈り"が伝わってくるコンサート。
そして実際にこの場所でギターの名曲に耳を傾け、
それを弾く名手たちの人柄に触れるにつけ、
胸の底からほろ苦いような懐かしさが込み上げて来て、
こんなにも人の心に響く音楽を忘れてはいけない
という気持ちに駆られてしまう。
逢坂剛さんが、「このコンサートに初めて来た方は?」と客席に問うと、
手を挙げる人の方がうんと少なかったことからも、
ここに一度でも来た人はギター音楽に対するそんな想いを同じくして、
何度も通って来られるのでしょう。
フラメンコギターに限らずとも、原点となる美しさ、
それを支える人々がいるからこそ、
そのアートは残ることが出来る。
けっして自然に残っていくものではないのですね。

クラシックギター界を代表する荘村清志さんは、
グラナドスアルベニス
そして『アルハンブラ宮殿の想い出』『歌と踊り』など、
クラシックギターの名曲をじっくりと聴かせてくれる。
瞑想するような音楽。
「静寂」に浸り、見えない傷が癒えていくような感覚が心地よかった。
松村哲志さん、そしてフラメンコロイドのはじけるようなフラメンコは、
ポジティブに感情が掻き立てられる。
沖仁さんのギターは想像以上に素晴らしかった。
これまで何度も聴いていて、日本のフラメンコギター界の
トップに立つギタリストであることは疑うべくもないけれど、
そのイメージをさらに覆すものだった。
超絶技巧を超絶技巧に感じさせない包容力。
音符ですべてを埋めようとしない暖かさがあり、
そこには、その瞬間に訪れる柔らかな静けさを
聴く人と共に味わおうとする優しさがあった。
言葉にも動作にも表れていた風格。
これこそが、日々自分自身を磨き続けている人の熟成。

この日は会場販売を担当させていただいたのですが、
お客様との対話からも、フラメンコギターについての認識が
深まっていることが感じられました。
沖仁さんのものはもちろん、パコ・デ・ルシア、サビーカス、ニーニョ・リカルドなど
オールドファンを魅了してきた名手たちのCDも用意していたのですが、
様々な方、ギターをやっているという方でないようなお客様も、
音楽として興味を示してくださって、お買い求めくださいました。

3年続けてこの「カディスの赤い星」コンサート会場で販売しながら、
アートはこうやって広がっていくのだなと実感しています。